渕 碧仁さん【研究発表】

東京都 中学2年生 渕 碧仁(ふち あおと)さん 研究テーマ:オウムガイ

■研究対象を選んだ理由

大好きな漫画、「マグメル深海水族館」を読んで、虜になりました。古来の姿のまま今も生き残っていることに感動しました。

■目標

今回の研究では、オウムガイの「生態」や「成長の特徴」を研究し、子どものオウムガイも大人のオウムガイも、同じやり方でモデリングできる方法や、バーチャルの中でオウムガイの成長を再現できるデータを見つけることを目標にしました。
そして、最終目標としてはUnityで作った「バーチャル巨大海水水槽」でオウムガイを飼育すること!

■オウムガイについて

「カイ」とついていますが、分類ではタコの仲間です。水深100~600メートルに生息し、タカアシガニやヨロイザメと同じくらいの表層深海にいます。

また絶滅危惧種に指定されていて、ワシントン条約で輸入が規制されたため、実物を見る機会が少なく、研究の遅れにもつながっています。

■研究方法

静岡県にある戸田造船郷土資料博物館・駿河湾深海生物館へ行って、展示されたオウムガイを見学しました。さまざまな角度で撮影ができたので、モデリングに役に立ちました。

オウムガイのモデリングの課題としては、殻の内部の隔壁が約30枚あり、壁の厚さや隔室の深さ をそろえるのが難しかったです。

解決方法として、僕が名称をつけたのが、「模写彫刻法」と背景に断面画像を置き、模写をしながらモデリングをする方法。もうひとつが「成長逆再生法」です。
「模写彫刻法」は、背景に断面画像を貼って、模写しながらモデリングをする方法です。
こちらは、隔壁の厚さや各部屋の深さをそろえるのが難しく課題が残りました。

そこで複写彫刻法に課題が残ったため、他のやり方を模索しました。
・隔壁(殻の壁)はどのようにできるのだろうか?
・小さいオウムガイはどうやって大きくなるのだろうか?
・殻の成長を知ればヒントがあるのではないか?
を意識して、改めて、オウムガイの文献を中心に調査しました。
そこで分かったのは、オウムガイの成長していく過程です。

オウムガイの成長方法をモデリングに活用できないか?と試行錯誤した結果、思いついたのが「成長逆再生法」です。成体の軟体部分のモデルを「複製→回転・縮小」しながら、一つ一つ隔室毎に時間を巻き戻していくと、壁や部屋の高さ・厚みが統一されるのでは?と想像しました。

画像編集ソフトを使って断面写真で縮尺を測定したところ、一つ前の隔室の状態に逆再生複製するには、縮尺:92%〜95%、回転角:20%強が適切といえることが分かりました。
実際にこの方法でモデリングをしてみたら、隔壁の厚さや深さをそろえることができました。隔壁を最初に薄く作ればもっとうまくできたと思いますが、良い方法を見つけられたと思います。

作ったモデルをUnityに入れて動かしてみました。ZBrushで着けた色はUnityと形式が違うので読み込めず、Unityで着色することになりました。足を動かしたりはできなかったのですが、これからもどんどん調整していきたいと思います。

■今後取り組んでいきたいこと

このプロジェクトに参加して培われたのは「成果に向かって試行錯誤」する大切さについて、沢山勉強することができました。最終目標までまだまだ遠いですが、これからもコツコツ積み上げて、バーチャル空間でオウムガイの飼育を実現したいと思います。

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