中平颯星さん【4期生紹介】

静岡県 中学2年生
研究対象:ホテイエソ
テーマ:ホテイエソの幼魚と成魚の違い

――プロジェクトに応募したきっかけを教えてください

過去の活動内容をXで見ており、クジラの骨の掘り起こしの取り組みや、 3D プリンターで色々な物を作っているのを見てとてもおもしろそうで自分も参加してみたいと思っていました。
JAMSTEC の一般公開に参加してその際に放散虫を3D プリントしたものを展示したブースがありましたが、
肉眼で見ることが難しいような大きさの放散虫が何十倍にもなり構造がわかりやすくなっていてとても面白かったです。
僕の好きな幼魚もとても小さくて細かいところは観察しにくいですが、3D プリントすれば観察しやすくなりとても面白いのではないかと思いました。
そして新しい事を覚えて使えるようにすることは楽しいから応募したいと考えて応募しました。

私は静岡県在住で磯採集を趣味としており、これまでに311種の生物を採集してきました。
小学4年生の時に完璧採集家の講演会に参加したことをきっかけに、深海魚の採集に興味を持ちました。

▽▽中平さんのXより

――研究対象を選んだ理由は何ですか?

せっかくなら、僕が採集した魚でこのプロジェクトに参加したいと思いました。
ホテイエソを選んだのですが、この魚は体のあちこちに発光器があり、その発光器をそれぞれの目的で使用しているところが一番面白いです。
ホテイウオは幼魚と成魚の見た目が違うことを本で見て知ってはいましたが、実際に見てとても驚いたからです。
そこで、幼魚と成魚の見た目の違いを3Dモデルにすることで皆さんにも楽しんで頂きたいと思い、このテーマを選びました。

成魚は水深100-800mに生息し、219個もの発光器を持つことが特徴です。
一方、幼魚は水深0mにも現れ、外套膜や特徴的な目の構造を持っています。

――どんな点に工夫して研究に取り組みましたか?

CTスキャンでは体色は写らないので体色も塗りました。この時に実際のホテイウオの色に近づけるため、真っ黒ではなく若干茶色に近い黒色で塗りました。
また体が曲がっている状態て作業がしにくかったため、真っ直ぐに直しました。ヒレは、倒れてつぶれてしまっていたので、作りました。
鰭条数も、実際のものと同じにするため、ダイバーさんなどが撮影した画像から数えました。
特に大変だったのは発光器の埋め込み作業で、20時間近くもかかりましたが、細部まで忠実に再現することに成功しました。

CTデータの分析から、ホテイウオの背骨構造やカルシウム密度、顎の特徴などについても新たな発見がありました。
特に顎の構造がミズウオと類似していることから、顎が縦ではなく横にも開くことができるという事を自宅でミズウオの解剖を行った時に確認しました。
ミズウオと同じような顎の作りになっていることからホテイウオも横に顎が開くと考えられます。
そうすることで顎が大きく開くので餌の大きさを問わず捕食できるようになり、餌の少ない深海で生き残るのに有利なのではないかと考えました。

――将来の夢・目標を教えてください

将来は、魚の研究者になって、深海へ行って調査をしてみたいです。
また新種の魚を見つけて、自分の名前をつけてみたいなと思います。
3D は今回とても楽しく、良い経験になったので、高校でも海洋研究や3D 技術を使った取り組みには挑戦してみたいです。