堤清策さん【4期生紹介】
愛知県 中学2年生
研究対象:スナメリ
テーマ:スナメリ 生息地域による個体差について
――プロジェクトに応募したきっかけを教えてください
僕は海洋生物が大好きで、愛知県海のキッズサポーターに参加したり、環境ボランティアサークル「亀の子隊」の隊員としても活動してきました。
亀の子隊は、名古屋から車で2時間以上かけて通い、愛知県渥美半島で海岸沿いのゴミ拾いをしています。
僕たちがゴミを拾っているだけでは海ゴミは減りません。
海から離れて暮らす街の人々にどうやったらこの現状を知ってもらえるかのヒントが欲しくて、このプロジェクトに参加したいと思いました。
また、海洋生物のことと、3D プリンターについて、どちらも学べるなんて素晴らしいと思って、応募しました。


――研究対象を選んだ理由を教えてください
スナメリを選んだ理由は、亀の子隊の活動場所である三河湾にも生息していて、冬になると、僕が住んでいる名古屋にもやってくる、とても身近な鯨類だからです。
今回の研究は、東京海洋大学の中村先生に全面的にサポートしていただきました。
スナメリと似ている白イルカも、どちらも大好きな海洋生物です。

――どんな点に工夫して研究に取り組みましたか?
今回、3Dモデル作成のために、東京海洋大学に保管されていた貴重なスナメリをCTスキャンさせていただきました。
駿河湾に2000年頃に漂着した個体とのことです。
スナメリは、他の哺乳類と比べ気管支が1本多く、胃袋が複数個有るという特徴を持っています。最初は、肺だけ作ろうと思いましたが、作っていくうちにどんどん他の内臓の成り立ちが気になり、他の臓器も作ろうと考えました。




作成した内臓の大きさが悪く、体の中に収まりきらなかったり、繋がる場所が悪かったりして何度も作り直しました。
食道と器官の交差地点の位置関係の想定が、僕には難しく苦戦しましたが、構造が面白いと感じた気管支の分岐点や、胃袋を作る事ができて満足です。



専門家の間でもまだまだ分かっていない事だらけのスナメリの謎を、これからも引き続き追いかけていきたくなりました。
このプロジェクトに取り組み始める前は、「面白そう」という気持ちと「本当にできるかな」という不安な気持ちが半分くらいでしたが、作り出すとどんどん面白くなりました。
今後は、今回スキャンしてもらった駿河湾のスナメリが生きていた頃の完全な姿を再現したいです。
外形もそうなのですが、内臓、体の中身も全部入れてみたいと思っています。
僕の将来の夢は水族館の飼育員さんなのですが、全ての海域のスナメリを3Dモデル化し、大きさや特徴の比較がひとめでできるような展示物を作って、皆さんに見てもらいたいです。
この発表会で終わりではなく、これからも色々な物を作って、自分が3D技術を使いこなせるのはもちろん、周りの人に作り方を教えてあげられるようになりたいと思いました。
