神奈川県立生命の星・地球博物館で5期生授業を実施しました!

博物館の研究現場を体験!本物の標本と資料登録を学ぶ特別授業! 

2025年9月15日 神奈川県立生命の星・地球博物館

一般社団法人日本3D教育協会は、全国から選抜された中学生を対象に、最新の3D技術を活用した海洋生物の研究を通じて、将来様々な分野で活躍できる人材を育成することを目的とした次世代人材育成プログラム「海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト」の5期生 海洋基礎授業を、2025年9月15日(月・祝)に神奈川県立生命の星・地球博物館で実施いたしました。

このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環で開催するものです

神奈川県立生命の星・地球博物館で海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト5期生授業を実施しました!

イベント概要

開催概要

全国から選抜された5期研究生が、神奈川県立生命の星・地球博物館に集結。同館の学芸員と外来研究員の連携による専門的な講義や、普段は入れないバックヤードの見学を通じて、標本資料の重要性と博物館の役割を学ぶ対面授業。

日程 :2025年9月15日(月・祝) 11:00~15:30

開催場所 :神奈川県立生命の星・地球博物館 https://nh.kanagawa-museum.jp/ 

参加人数 :海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト 5期研究生 10名(中学1年生~3年生)、講師、スタッフなど合計約13名

協力 :神奈川県立生命の星・地球博物館

協賛(五十音順):APPLE TREE株式会社、株式会社エイチ・エー・ティー、Expert Material Laboratories 株式会社、株式会社エヌ エスエス、株式会社サンステラ、ナノダックス株式会社、日本エイサー株式会社、パナソニックセンター東京、株式会社ボーンデジタル、Maxon Computer株式会社、株式会社ミマキエンジニアリング、株式会社ワコム

神奈川県立生命の星・地球博物館で授業を初開催

神奈川県立生命の星・地球博物館は、「生命の星・地球」の誕生から現在までの46億年にわたる壮大な歴史と、生命の多様性を学ぶことができる自然史博物館です。
「見る、触れる、体感する」をコンセプトに、恐竜やいん石、昆虫など約1万点にのぼる実物標本をはじめとする迫力ある展示が魅力です。
今回、魚類学を専門とする学芸員 和田英敏先生と、外来研究員 緒方悠輝也先生にご協力いただき、「海洋研究3Dスーパーサイエンスプロジェクト」としては初の授業の開催が実現しました。

神奈川県立生命の星・地球博物館

神奈川県立生命の星・地球博物館

46億年にわたる地球の歴史と生命の多様性が学べる総合展示室を観覧する研究生たち

46億年にわたる地球の歴史と生命の多様性が学べる総合展示室を観覧する研究生たち

採集した魚を“資料”に。研究者から学ぶ標本登録のプロセス

本授業は、日本有数の自然史博物館を舞台に、研究機関としての博物館の役割や標本資料の重要性を多⾓的に学び理解することを大きな目的の一つとして位置付けました。

まず、同館外来研究員の緒方悠輝也先生による講義が「魚の採集と博物館への資料登録」をテーマに行われました。

研究者がどのようにして魚を採集し、それがどのようなプロセスを経て博物館の貴重な資料(標本)となるのか。
ご自身の体験談を交えながらの分かりやすい解説に、研究生たちは熱心に聞き入りました。

様々な魚の採集方法を紹介する緒方先生

様々な魚の採集方法を紹介してくださった緒方先生

緒方先生の魚採集の体験談を聞き笑顔を見せる5期生

緒方先生の魚採集の体験談を聞き笑顔を見せる5期生

研究機関としての博物館の役割を学ぶ「標本の役割や標本資料の重要性」

続いて、同館学芸員の和田英敏先生が登壇。「標本の役割や標本資料の重要性」について解説が行われました。

一つ一つの標本が持つ学術的な価値や、それらがどのように未来の研究に貢献していくのか。
研究機関としての博物館の使命と、時間をかけて行われ引き継がれる研究の積み重ねの大切さを学びました。

同館学芸員の和田英敏先生が登壇。「標本の役割や標本資料の重要性」について解説

「標本の役割や標本資料の重要性」について、同館学芸員の和田英敏先生が解説してくださいました。

熱心にメモをとる研究生

熱心にメモをとりながら受講する研究生

【ミニ企画展示】消える魚たち

また、ミニ企画展示「消える魚たち」の前では、和田先生に解説いただきました。ここでは、十分な絶滅危惧判定がなされていないものの、かつて大衆魚でありながら漁獲量が激減し、私たちの生活から姿を消しつつある魚たちが紹介されています。

開催期間: 2025年9月13日(土曜)から10月13日(月曜・祝日)
ミニ企画展示「消える魚たち」詳細についてはリンクをご覧ください https://nh.kanagawa-museum.jp/exhibition/temporary/mini20250913.html

和田先生は、危機に瀕している魚や既に絶滅した魚について、その理由とともに説明してくださいました。

「消える魚たち」展示の前で解説する和田英敏先生

ミニ企画展示「消える魚たち」展示の前で解説してくださった和田英敏先生

展示中の標本や解説をみつめる研究生の様子

ミニ企画展示「消える魚たち」展示中の標本や解説をみつめる研究生の様子

探究心の扉を開く!普段は入れない「収蔵庫(バックヤード)」へ

講義の後、研究生たちは和田先生に導かれ、普段は一般公開されていない博物館のバックヤードの見学へ!

液浸(えきしん)標本収蔵庫では、和田先生が論文を執筆された「イズベニハゼ」という現時点では世界に一個体しかない、とても貴重な標本を観察させていただきました。
研究現場の第一線を目の当たりにし、研究機関としての博物館の役割を肌で感じることができました。

標本製作室では、和田先生が、サメの歯の標本を手に「どのような違いがある?」と研究生に問いかけました。

問いかける和田学芸員

バックヤードでサメの歯の標本を手に研究生に問いかける和田先生

カグラザメ、アオザメなど異なるサメの歯を比較し、「海に沈んだ大型の鯨など大きな餌を切り取って食べるため、ノコギリのような歯をしている」など、食性の違いにより、形状にどのような違いがあるかを解説していただきました。

サメの歯の違いを間近で観察する研究生の様子

サメの歯の違いを間近で観察する研究生の様子

この体験は、海洋生物が、食性や生息場所の違いによって、どのような特徴を持つのかといった理解を深め、今後の探究活動を進めるうえで、研究生たちにとって大きな糧となる特別な実体験となりました。

深化し発展する研究生たちの探究心

本プロジェクトの最大の特色は、参加する中学生が自身の興味・関心を起点に、約8ヶ月かけて一人ひとつの海洋生物について徹底的に研究し、研究発表としてアウトプットする点にあります。

今回の授業は、研究生たちが夏休み期間に行った実習合宿での探求活動を、専門的な視点から見つめ直す絶好の機会となりました。

展示室で解説をしてくださった和田学芸員


また、標本資料の重要性や、研究者たちの情熱に直接触れた経験は、これから約半年間続く自身の研究をより深化させ、発展させるための大きな知見となりました。

様々な標本を見せてくださった和田学芸員と和田学芸員を囲む5期生たち

「オガサワラカサゴ」「ヒレナガカサゴ」など、様々な標本を見せてくださった和田学芸員と和田学芸員を囲む5期生たち。

本プロジェクトは、今後もこのような第一線の専門家との連携を通じて、未来の海洋研究を担う人材の育成に努めてまいります。


参加した研究生からの声

  • 一番勉強になったことは、標本についての話です。標本はどう集めるのか、どう保存するのか、なんのために保存するのか、どんな種類があるのかを詳しく知ることができて良かったです。最後に説明があったような、少しの違いで別の種が発見されたような事例も、標本をたくさん集めていたからこそ気づけたものなのだと思いました。
  • エタノールとホルマリンの違いなど、今まで知らなかった標本の管理方法を知ることができました。また、サメの歯の形も違いなど別の生物にも応用できそうな知識を身につけることができました。
  • 内容がとても詰まっていてあっという間でした。バックヤードを見せていただいたのはとてもいい経験でした!私たちが「これ見ていいですか?」と聞くと和田学芸員さんが手に取って見せてくださったり、補足説明をしてくださったりしたのでとても勉強になったし、自分の探究心がより大きくなった気がしました。
  • 館内を紹介してくださった時に、絶滅した魚についての話がとても心に残りました。話を聞いて、それらの原因は人間がその魚について知らないがために起こることなのだと思いました。これ以上日本の貴重な魚たちを絶滅させてしまわないように、たくさんの人に魚をもっと知ってもらいたいです。
  • 和田先生の話してくださった、集める、調べる、伝えるの3つのカテゴリーの部分が良かったです。なぜなら、海洋研究の方、あるいは博士などはどのように標本を手に入れるのかなど、これまで知らなかったことを学べたからです。また、緒方先生が説明してくださった海洋研究をする時の注意点などを学べたことがとても勉強になりました。なぜなら、これから魚を研究したいとき、どのような場合に採集してはいけないのかが分かるようになったからです。
  • 博物館について詳しく知ることができ、とても楽しかった。一度この博物館には行ったことがあったが、講義を聞いてからもう一度展示を見ると、内容だけでなく展示方法や標本がどこで採れたのかも気になるようになった。講義を受けたことで、新たな博物館の楽しみ方が増えた。